あわててカップを奪い返し、瑠衣をにらみつける。


「ホンマ、やめてよね。未成年にお酒飲ましたなんてバレたら、わたしまで不良講師のレッテル貼られるやん」


あきれて言うと、彼は突然、温かい視線を落としてきた。


「ええやんか、不良で」

「いいわけないでしょ?」

「俺の前でだけなら、不良でええよ」

「……」


こくっ、とワインを飲むと、喉の奥が、焼けるように熱くなった。


瑠衣は、簡単にわたしを乱すんだ。

シャイかと思えば大胆で、優しいかと思えば、時に強引で。


「もう……じゅうぶん不良になってるよ」


大人でも子供でもない彼に

わたしはどんどん乱されていく。








そのあと彼は律儀にわたしをマンションまで送ってくれた。


「じゃあ、帰ったら家族水入らずのパーティー、楽しんでね」

「はい。先生もゆっくり休んでください」


1時間限定のデートはあまりにあっという間で、寂しさがこぼれてしまいそうになる。


なごりおしさをふり払うように、わたしは大きく手を振った。