「――うわ…」


同時に声をもらすわたしたち。

広場を埋めつくすほどのイルミネーションに、目を細めた。


本場のドイツを模したという小屋が立ち並び、めずらしい人形やキャンドルが売られている。

焼きたてのウインナーの匂いを漂わせるのは、ブラウンの瞳をした外国人のおじさん。


そして広場の中央には、3階建てほどの高さもあるクリスマスツリーが立っていた。


「何これ! すごい!」


感動のあまり、思わず大きな声が出た。


「うん。ホンマすごいな」


瑠衣もぽかんと口を開けて、ツリーを見上げる。

イルミネーションが点滅するたびに、瑠衣の瞳の中で光が踊った。


「あっ、グリューワインだ」

「何っすか、それ?」

「香辛料入りの、温かい赤ワイン。体が温まるねんで」


飲んじゃおっかなあ、とつぶやくと、瑠衣はわたしの服のそでをつかんでアピールしてきた。


「俺も俺も!」

「片瀬くんはダメ。未成年なんやから」