改札を出る人並みから抜けると、瑠衣はやっとわたしの手を離してくれた。


「な、なんでいきなり、デートなわけ?」

「あれ? ダメでした?」


瑠衣はきょとんとした顔でそんなことを言う。


「ダメっていうか……」

「じゃ、いいやん」

「ううん! やっぱりダメ。
こんなとこ誰かに見つかったら、何て言われるかわからへんよ」


キョロキョロしながら説得するわたしに、


「予備校から離れてるし大丈夫やって」


と悪びれない様子で先を歩いていってしまう瑠衣。

毎度のことだけど、その自信はどこから来るんだろう。


「待ってよ!」


しかたなく追いかけて、駅を出た。