「何か用ですか。出来れば外の空気を吸いに行きたいんですけど」

休憩時間は短いんですよ

一向に用件を口にしない白鳥に海斗は静かに聞く

別に白鳥のことは嫌いではない

ライバルと思ったこともない

自分のほうが勝っているとも思わない

白鳥の実力は認めてる

周りはいろいろはやし立ててくるけれど、自分も白鳥も変にお互いを意識したころはない

たぶん周囲が勝手に熱くなってるだけ

「なんで立花さんを外に出さないんだ」

白鳥は静かな瞳で海斗を見据え、ゆっくりとけれどはっきりとつぶやく

静まり返った空気にしん、と白鳥の声が響いて空気が震える

「医者になって3年。お前についていろいろな手術を経験している。腕はそこら辺の医者より勝っているだろう。しかも彼女は医者として一番大切なものをきちんと持ち合わせている。これからの彼女の医者としての未来を考えるなら、そろそろ外に出して立花しるふという医者を広めるべきじゃないのか」

そうじゃないとこのまま名を知られず、埋もれていってしまう

そう責めるわけでもなく、けれどはっきりという白鳥を海斗の漆黒の瞳が見返す