親の七光りだとか裏口入門だとか言われるのが嫌で、跡取りとみられるのが嫌で黒崎病院には就職しなかったのに

なぜわざわざ黒崎病院に行かなければならないのだ

そう思って最初は突っぱねていた

でも、周りとのレベルの違いや黒崎病院医院長の息子として見られてることへの苛立ちから最終的には神宮寺の誘いに応じることにした

入ってみると意外とそこは居心地が良くて

まったく特別扱いされず、医局全体のレベルも高く

むしろ自然体なメンバーだった

ここなら医者でいられるかもしれない

ここでなら医者でいてもいいかもしれない

そう思っていた頃、あの真っ白な存在に出逢った

体力的にもきついER志願で来る女医はそう相違ない中

神宮寺医局長がどこぞの大学から見つけてきた彼女はそれだけで異色な存在だった

どんなにしごいてもめげなくて

涙目になりながらも睨み付けてくるような負けず嫌いな奴で

そのくせ患者を助けられないとすぐにしょげ独り肩を震わせたり

自分の状況なんて顧みずにいらないことにまで首を突っ込んで危ない目にあったり

隣で見ていて心配になるような一面もあった