「愛羽!」
「芹♪おはー」
「あのね、愛羽。拓哉君…彼女いるって…」
親友の北川芹(きたがわせり)は私が拓哉を好きだと知っている。
だけど、つきあってることは言っていなかった。
「…誰?」
「わかんない…康介が言ってたの」
「そっか。」
拓哉が彼女だと言ったのは、私なのか、梨華ちゃんなのか…。
「あっ康介!」
「おぉー芹。愛羽。」
高田康介(たかだこうすけ)は芹の幼なじみで、拓哉の親友。
だから私も仲がいい。
「ねぇ…拓哉の彼女って…?」
「はっおい芹言ったのかよ。誰にも言うなって言ったろ」
「あ、芹、先生に呼ばれてるんだった~♪」
芹は逃げるように去った。
「はぁ…誰にも言うなよ?」
「うん!」
「1年の…藤堂梨華ちゃん」
「…そ。」
康介に、親友に彼女だと紹介したのは梨華ちゃんの方だった。
「…あんま落ち込んでねぇな。」
「あたりまえでしょ。私強いもん。」
「拓哉のこと、好きか?」
「うん。好きだよ。」
「…やめとけ。」
「…。」
「あいつ昨日もノロけてた『俺ホント梨華ちゃん好きだわ』って。」
「…昨日?」
昨日、拓哉は梨華ちゃんと別れると言った。
「拓哉はやめろって。」
「…やめない。」
「愛羽…。」
「…じゃあね!」
私はその場を走り去った。
私、拓哉のこと好きだよ。
拓哉のこと、信じたいよ。