彼の方も幸せそう。


顔をクシャクシャとさせて笑うあの笑顔が、僕は好きだった。


僕が好きなのは可愛い彼女の方ではなく、男らしい彼の方。


大学時代、あんなに近かった彼の存在。


今はこんなにも遠い。



次の角で曲がろうと思っていたら、その前に彼が僕の存在に気がついた。



「三屋(ミヤ)ー!お疲れ」



僕の名を呼んで、彼は片手をひらひら。

彼女の方も振り向いて微笑みかけてきた。


僕は彼女に会釈をしながら、彼には“お疲れ”と一言返した。