あれからしばらく、小沢先輩はこの料理部を覗きに来る事はない。


でもそれは仕方のない事であって、新入部員も入ったばかりでキャプテンやってる小沢先輩も部活の方が忙しいんだ。


わかってるんだけど…それが余計に私との距離を離してるようで、ますます虚しいって言うか切ないって言うか…。


今頃きっと、夕陽もマネージャーの仕事を小沢先輩直々に教わってるのかと思うと………

ううん、変な事考えるの止めよう!


夕陽は別に、何も悪くないんだからっ




「ほら、またそんな顔する。
さっきからずっと、そうだったわよ?」



「えっ、ぁ――…」



ちょんちょんと頬を忍先輩につつかれて、ハッとする。


さっきからずっとって!
私、そんなに…っ?




「尚人と、上手くいかなかったの?」



「忍先輩…っ」



私の本当の気持ちを知っているのは、忍先輩だけだ。


私の事を本気で心配してくれる忍先輩に、ジワジワと目頭が熱くなってきた。