「変だなぁ。昨日の時は、ギリギリまで寝てここでモーニングして出勤するって言ってたのに…」
「…なぁ、梅シュ?」
「え?」
私が首を傾げていると、赤坂くんは1人、後ろの窓ガラスを見ながら私の名前を呼んだ。
「梅シュの姉ちゃんって…あっちを物凄い形相で走っとるリクスー女の事か?」
「ええっ!?」
私は赤坂くんが見てる窓の方へ駆け寄ると、指差す先を見てみた。
するとそこには、長い髪を振り乱しながらタイトスカートギリギリまで足を上げて一直線に猛ダッシュする、リクルートスーツ姿のお姉ちゃんがいた。
窓越しには聞こえないけれど、何か叫びながら走っているよぉ。
――『あーん、また遅刻して朝の一発目から専務にどやされるのが目に浮かぶーっ』
…うん、その通りになっちゃいそうだね。
ガンバレ、お姉ちゃん…!
…もしかして、カフェで待ち伏せるんじゃなく、お姉ちゃんのアパートに直接行って驚かせた方が良かったかな…。
今更だけど。