「じゃ、心花も帰ってきた事だし。
わたしもアパートに帰るかぁ」



どうやら先に晩ご飯を食べ終わったらしいお姉ちゃんは、重そうな腰を「よいこらせ」と起こしながら立った。



「明日からお仕事だったね。
頑張ってね、お姉ちゃん」



「わかってるわよっ
あーん、また遅刻して朝の一発目から専務にどやされるのが目に浮かぶーっ」



それから玄関まで行って、うちを出るまでずっとグダグダ愚痴をこぼしていたお姉ちゃん。



「…遅刻しないようにするなら、少し早起きすればいいだけじゃないかなぁ」



「何言ってんのよ!
オンナは睡眠が一番の美容法なのよ!
ギリギリまで寝て、朝はカフェで目を覚ますの!」



…私は逆に、その小沢専務って人が不憫に思えてくるんだけど。


そんな私も、小沢専務さんに怒られてるお姉ちゃんの姿が目に浮かんだ。

もちろん、顔なんて知らないんだけど。




「…!」



あ、そうだ。

明日は土曜日だし、お姉ちゃんがモーニングするって言ってた夕陽んとこのカフェ。久し振りに行ってみようかなぁ。



先に私がカフェにいたら、お姉ちゃんビックリするよね。

それでその後、こっそりお姉ちゃんの職場に付いて行って、その小沢専務さんって人、見てみよう。



私ってば、ちょっとイジワル?



よし、後で夕陽に連絡しとこう。