「困る人…か…」



「ねっ、菅野先生!
彼女とかいるんですか?
誰にも言わないから私にだけ教えて下さいよぉ」



女の子の言う「誰にも言わない」は、アテにならないかもしれませんけどねっ

でも菅野先生の彼女なら、私もちょっと興味津々かも。



「彼女は、いる…」


「キャー!」


「…と思うよ」



「…………………え?
思う?って…?」



かけているメガネの奥は、どこか遠くを見ているようで、何だか切ない。

これは、いつも見る菅野先生の顔じゃないのがわかった。




「菅野先生、それって…?」



「…ん、まぁとにかく…とりあえず僕がマフィンをもらっても、別に困らないって事だよ。
ありがとう、ちゃんといただくからね」



「あ…はい…」



そういえば菅野先生のそんな顔…昨日も見たなぁ。


菅野先生は当然私には何も話してはこないけど…

私の知らない菅野先生の素顔が、何だか少しずつ見えていくような、そんな気がしたの。











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