課題を終えた生徒たちが次々と自習室を出て行き、前回と同じくまた私だけが残ってしまった。



「う゛っ
すみません、菅野先生…」



これじゃただの問題児だよね。

さすがに毎度毎度こんなじゃ、菅野先生だっていい加減困るよぉ。




「ん、いいよ。
また一緒に、1つずつ解いていこうか」



「…はいっ」



目を細めながら笑う菅野先生に、私はホッと安心感を覚えた。


うーん。
優しいなぁ、菅野先生は。

こんな人の彼女になる人は、きっと菅野先生と同じように優しい女性なんだろうなぁ。

うちのお姉ちゃんとは正反対だよ。





「…あ、もしかしてまた帰りにジュースを奢ってもらおうなんて考えてるかな?」



「えっ、えぇっ!?
そんな事、思ってもないですよぉ!」



「そ、それはごめんっ。
変な事を疑っちゃったね」



「…あでも、帰りは途中まで送ってもらう気はありましたけどねっ」



「あぁ、なるほど」



そう言うと、私と菅野先生はフッと吹き出した。



基本受け身な性格の菅野先生だけど、こうやって話してるのは何だか楽しい。


うちの塾、優しい先生で本当によかったと思うよぉ。