「バターのニオイがチョー美味そう。
何コレ、梅津が作ったのか?」



ミトン越しに持つ忍先輩の鉄板から、小沢先輩は焼きたてのクッキーをヒョイと1つ摘んだ。



「あ、はい…っ」



言ってる間に摘んだクッキーを口に放り込んでしまった小沢先輩の反応を、私はドキドキしながら待つ。




「…………………ん!
美味い美味い、ちゃんと食える!」



「……………!!」



その言葉を聞いて、ホッと胸をなで下ろした。

はぁ、よかったぁ。



「ふふっ
そりゃあこの料理部に所属して1年だもの。腕を上げたでしょ?」



「あぁ。
入部したての頃は、そりゃスゴかったからなぁ」



――ギクリ


今でこそ普通に作れるようになれたけれど。

でも元々は、お料理だけじゃなくお裁縫だとか、いわゆる“家庭科”的なものがスゴく苦手。


だけどそれを克服しなきゃいけないなと思ったのは、実は小沢先輩の為なの。