「行ってらっしゃい!
わたしは心花が帰ってきたら、アパートに帰るわね」



学校の荷物を部屋に置くと、今度は塾で使う荷物に持ち替えて玄関に出た。



「そんな遅い時間でいいの?
明日からお仕事なんでしょ?」



いくら今日がお休みでも、夜は早めに帰って明日に備えた方がいいんじゃないのかなぁ。

まぁ、お姉ちゃんの事だから私が口を出す事じゃないけど。



「あぁ、いーのいーの。
明日の朝はいつものカフェで、モーニングして出勤の予定にしちゃってるから」



「いつものカフェ?
この辺りでカフェって言ったら…夕陽のお店かなぁ」



友だちの夕陽は、近くのカフェに勤めてるお兄さんがいるのだ。

一度だけ見た事あったけど、男の人なのに物腰も柔らかくて、例えるなら教育のテレビに出てきそうなイメージかなぁ。


確か名前は…



「もぉ心花ったら!
夕陽じゃなくて、朝陽でしょ!
いくら目にしみるからって、朝陽くんの名前を夕陽にしないでよね」



「……………………」



お姉ちゃん。赤坂くんとコンビを組んだら、きっとお笑いコンテストで優勝できるかもしれないよ…。


そう、私は遠い目をしながら思ってしまった。