だけどそうなると、世良先生は…校長先生よりも偉いって事になるのかなぁ。

みんなそれ知らないよねぇ。


何か…世良先生のイメージが変わってきちゃった。




「そうだ、梅津。
ついでに良い話を聞かせてやるから、こっちにおいで」



「良い話?」



「そう。
ほら内緒だから、耳貸して」



言われた通り私は世良先生に近付き、ちょっぴり背伸びして耳を向けた。



「うちの校内にチャペルがあるだろ?
その中央にある十字架の前で、好きな男に告白してごらん」



「…ぇ……っ」



「きっと、女神さまが祝福を授けて下さるぞ」



「――――ひゃっ!」



その直後に耳に感じた、くすぐったい感触。


ビックリして耳に手を当てながら世良先生から離れると、そんな私を見て世良先生はクスクスと笑った。



「ありゃりゃ、逃げられちゃった。
せっかくキスしちゃおうかと思ったのに」



「冗談はダメですってばー!!
もぉ、世良先生なんか知らない!」



真っ赤になりながら、私はそのまま保健室を飛び出して教室にと走った。



いくらスゴいお金持ちでスゴい人でも、チャラくて気怠い感じは同じ。


内緒話の隙をついて耳にキスなんて、もぉ信じらんないんだからぁ!




「………………っ」



だけど世良先生が言ってた、あの話。



本当なのかなぁ…。