そっか。お姉ちゃんは小沢先輩を見るのは初めてだよね。

前にうちで話をした時は、恋をしてるんだねって心配してくれたっけ。


どうしようかな。
今は恥ずかしいから、後から紹介しようかな。

でもせっかく小沢先輩が隣にいるんだもん、お姉ちゃんの事は紹介したいし…



「お お姉ちゃん。
あのね、この人は…」



「…専務だ」



「え？」



「専務が２人いる…」



…どうしたのかな。

いきなり小沢先輩を見て固まっちゃってるんだけど。


しかも専務が２人って？



ところが、お姉ちゃんの側に立つその小沢専務さんも、そんなお姉ちゃんの言葉に反応してギュッと眉間にシワを寄せた。



「バカモーン！梅津！！
そんなつまらん事ばっかり言うから今日も遅刻したり失敗したりするんだろうが！！
そんな事より、社会人ならせめて遅刻ぐらい何とかしろーっ！！」



「は はいぃーっっ」



小沢専務さんに怒鳴られたお姉ちゃんは、背中に定規でも入ったかのように姿勢をピーンと伸ばした。


目の前のリアルなお説教もビックリしたけど、でも私には更に別の件でもビックリした。




「小沢先輩が…２人いるよぉ…」



うん。
偶然とは言え、スゴくシンクロしてたと思う。


男の人って、みんなこうなのかなぁ。