「…花火ほど、色も形も様々で綺麗なアートもないだろう。
俺たちデザイナーをやる上では、いいインスピレーションを得る機会になるな」



……………………。



お姉ちゃんたちがどんな仕事をしているのかは、何となく知っているけれど。

でも花火1つで、そんな堅く真面目なコメントが返ってくるとは思わなかったな。


ううーむ。
お姉ちゃんが「鬼専務」なんて言ってただけあって、確かに手厳しそうな感じもしてきたかも。




「おいっ、梅津!
何俺を無視して行ってんだよ」



「あっ、小沢先輩っ」



ようやく私たちのもとに追いついた小沢先輩だけど、そういえばすっかり忘れちゃってたよぉ。



「ったく、梅津!!それでも俺のマネージャーか?
このばぁっかもーん!」


「ひゃーっ」



どうやらそれが怒る時の口癖なのか、小沢先輩の「ばぁっかもーん」には、毎回ドキッとする。




だけど…そんな様子を目の当たりにしたお姉ちゃんは、何故か小沢先輩を見て呆然としていた。