「あれー?世良先生ここにいるじゃん!」


「え?じゃあ、さっきの人は…」



当たり前だけど、大沢輝良を世良先生と勘違いした生徒たちは、本物の世良先生を見て動揺した。


これで気怠いチャラ男な保健医から、ミステリアスな妖しい保健医と囁かれそうだな。




「…恋や愛なんて信じてない兄貴だったけど、きっと何か心を動かされる誰かと出会って変わったんだろうな」



「世良先生…?」



ふと、そんな事を言う世良先生を私は見上げてしまった。


私には当然知らない事だけど、世良先生たち兄弟の間でも色々あるんだろうな。



大沢グループの管下で経営されてるママ高だけど、あのチャペルの伝説を知っているのは世良先生と大沢輝良だけだ。


もしかしたら、その伝説を作った人って2人のうちどちらかか、或いは両方――――…?