そんなわけで、学祭が始まるまでに料理部は、メッセージを書く用のチョコレートプレート作りが微妙に忙しかった。


地味な作業だけど、これでたくさんのカップルが生まれたりする事を考えると、ウキウキするよね。


もちろん、私も…っ!












――それから、2週間後の金曜日





「ふぅ。
毎日のプレート作りも大変だったけど、でもいよいよ学祭も明日だなぁ」



今日も部活を終え、学校から家へと歩いて帰っている時だった。



「心花!」



聞き慣れた声に呼び止められ、私はクルリと振り返った。



「優ちゃん!」



緩んだネクタイの喉元を開いた制服姿の優ちゃんが、後ろから走って私を追いかけてきた。


肩からは通学用のバッグの他に、大きなボストンバッグ。

きっと、部活で使った着替えなんかが入っているんだろうな。