「よっ!
何かイイ事でもあったのか?」
部活紹介も終わった放課後。
学校を出てちょうど家の前に差し掛かった所で、背中からそんな声がかかり私は振り向いた。
「優ちゃん!」
家も隣同士で、生まれた時からずっと幼なじみとしての付き合いが今もあるのが、彼こと木下優也。
高校生にもなって「優ちゃん」なんて呼ぶのは恥ずかしいかもしれないけど。
でも小さい頃からずっとそう呼んでるから、今更変えられないもんね。
「イイ事って言うか…」
今日は小沢先輩に、私の焼いたクッキーを食べてもらったんだけどね。
それだけなのに、やっぱり顔にまで出ちゃってたんだろうな。
「ね、優ちゃん。
良かったら、これ食べてくれない?」
私はカバンから、今日の部活紹介で焼いたクッキーの割れたものを取り出した。