「よし、これで全部終わりだね」



「はい、菅野先生。
じゃあ一緒に帰りましょー!」



さっさと荷物はバッグに入れて、帰り支度を済ませた私。


はい、もうすっかり送ってもらう気満々ですけど何か?(笑)




「じゃあ後は教室を施錠して……あれ?鍵を忘れてきちゃったな。
梅津さん、ちょっと待っててくれる?」



「あ、はぁい」



いくつかのプリントやテキストなんかの入った袋を机に置いた菅野先生は自習室の鍵を取りに出て行き、その間私は自習室の中で待つ事になった。






「……………………………………………」



チラリ

つい暇を持て余した私は、菅野先生の荷物に視線を移す。

菅野先生に限って、そんな珍しいものなんて持ってないだろうけど……



「………………!」



講義用に用意した資料や本ばかりが入っているのだと思っていた。

だけど、何だか塾には似付かわしくないものも一緒に入っているのが見えて目が止まってしまった。



その袋の中には小さな箱のようなものが入っていて、まるで指輪なんかが入っているような…



「って、指輪!?」