「…ねぇ世良先生、そもそもその伝説って、本当なんですか?
だいたい誰が最初に言い出した…」


「もちろん本当だよ!
証明してほしかったら、こっちに来て耳貸してみな?」



「はい…」



そんなステキな伝説が本当にあるんなら、私も十字架の前であの人に想いを伝えたい。

それでもし、本当に女神さまの祝福が授かるなら――――…




「学祭当日、俺をチャペルに呼んでみな。
間違いなく、女神は俺たちに祝福を授けて下さるぞ…?」



チュ…と音を立てて耳に感じた、柔らかな感触。


え、これは………



「きゃあぁぁぁっ!
せ 世良先生ったらぁ!」



慌てて耳を押さえながら世良先生から離れると、世良先生はクックッと笑いながら私を見ていた。



「みみみ耳にそんな事ーっ」



「俺は学祭なんて待たずに、今女神の祝福を戴いてもいいんだけど?」



「もぉ!世良先生のエッチ!
そんな冗談はもうダメですってばーっ!!」



恥ずかしさに顔を熱くした私はそれだけ言うと、バタバタと保健室を後にした。



「やれやれ、もしかしてフられちゃったかな?」




マジメかと思ったらすぐにチャラくなっちゃうんだからっ

世良先生ってばもーう!













「…だけど女神の祝福、今年もたくさん授けてくれるといいな。
なぁ…兄貴?」




そんな雑誌の向こうの同じ顔は、気高く笑っていた。