ウチの学校の校舎と体育館をつなぐ渡り廊下は個性的で、二階と一階に一つずつある。

二階の廊下は屋根がないため、晴れた日には日の光がとても気持ち良い。

その廊下の下にもう一つの廊下がある。

壁がないため、すぐに中庭に出られるような構造になっている。

やけに洒落た建築だなと感心しながら、俺は二階の廊下を歩いていく。

下の階からは騒がしい声と誰かの走る足音が聞こえてきた。

━━二階を選んで正解だったな…

あくびを噛み殺しながら体育館の入り口の前まで来ると、ボールがはずむ音がした。

開けっぱなしの扉から中を覗くと冬花がいた。

冬花はスリーポイントシュートの練習中らしく、何度もボールを拾っては投げるのをくり返していた。

しかし、ボールはなかなかゴールに入ることはない。

何度もリングにぶつかっては、跳ね返される。

「体育の時は入ったのに…」

彼女は、悔しそうに何度もシュートをくり返す。

そんな彼女の姿に見とれていると、取り損ねたボールが俺の足元に転がってきた。

彼女がそれを追って、やっと俺の存在に気が付いた。