最初に声を出したのは森下チームの女子だった。

仲が良い友人がいるわけでもない、他のチームの勝利に彼女達は歓喜の声を上げた。

その後、冬花がバスケのレギュラーメンバーに決まったのは誰もが納得のできることだった。

「ねぇねぇ冬花ちゃーん。お菓子食べるー?」

授業が終わると冬花は女子に囲まれ、人気者そのものだった。

「あ、ありがとう…」

人見知りなのか、こういうことが苦手なのか、頬を染めてうつむく冬花。

「照れなくてもいーじゃーん。あ、今日どっか遊びにいこーよー」

女子に振り回され、冬花は困り顔だった。

「冬花ちゃんかーわいーなー。俺、やっぱあの子に一票入れようかなぁ…」

五島まで俺の隣でブツブツと喋りだす。

━━最初は悪口言ってたくせに…。調子の良い奴。


昼休みに入ると教室はさらに騒がしくなった。

騒がしいのが苦手な俺は、購買で買っておいたパンを片手に練習がてら体育館にむかった。

五月の暖かい太陽の光りに目を細め、青く晴れ渡った空を見上げる。