コートまで来ると委員の奴が俺たちにゼッケンを渡す。

優のは青。

俺は黄色。

互いに自分のチームのゴールに背をむけ、向き合った俺たちは少し笑う。

試合開始の笛とともに、ジャンプボールが始まる。

同時に飛び上がった俺と優。

優よりも先に俺の手がボールに触れた。

思いっきりボールを叩きだし、仲間に回す。

俺がゴールに向けて全力疾走すると、ボールが俺に向かって飛んでくる。

ボールを受けとめ走り続けると、優が目の前に立ちはだかる。

俺は優に背をむけ振り切ると高くジャンプする。

しっかりと握ったボールをリングの中に思いっきり押し込む。

ボールは地面に叩きつけられ、ダンッと音がした。

「ダンク…シュート…?」

優が目を見開き、言葉をこぼす。

そして口の両端がニッとあがった。

彼もおもしろくなってきたらしい。

そのあとはもうチーム戦でなく、俺と優の戦いのようになっていた。

他のメンバーはたまに回ってくるボールを俺に向かって投げるだけになっていた。

いつのまにか待機場所いた全員が俺たちの試合に注目していた。

「いっけー!!葉山ぁー!!」

「負けないでー!優くーん!」

応援されているのはほぼ、俺と優だけ。