「冬花の友達っすか?」

軽く俺も会釈をして彼に声をかける。

彼は少し迷いながら答えた。

「まぁ…。そんなとこ。」

俺はその答を聞いて、彼に強い興味を持った。

彼のクラスの空席へ移動しながらもう一度彼に声をかける。

「あんた名前は?」

「雨宮優。」

彼の透き通った声が答えた。

俺も自分の名を名乗り、互いに「よろしく」といった。
「葉山はバスケ得意なん?」

優は自分の膝に肘をつきながら微笑む。

なんって爽やかな奴だ…

男の俺でも目をとられてしまう、爽やかさに言葉が一瞬出てこなかった。

「…秋彦でいいよ。元バスケ部だったんだ」

俺の返事に彼は少し目を丸くする。

そして先程と変わらない微笑みをまた見せた。

「それじゃ強敵になりそうだね」

「雨宮は?」

「俺も秋彦と一緒。それから、俺のことも優でいいよ」

俺と優はそこまで喋ると、話題を見失い互いに黙ってしまった。

向こう側のコートから女子の歓声が聞こえてくる。

どうやらまた冬花がシュートを決めたらしい。

それを見ていた俺たちは一瞬前のめりになる。

互いに顔を見合わせ、自分達のことを笑った。


よそよそしかった俺たちの空気が和らいだ気がした。