俺は自分のクラスの待機場所に向かう。
冬花たちは最初から試合らしく、こちらに戻ってこなかった。
もう向こう側の女子のコートにうちのクラスの女子が集まっていた。
その中に一人小柄なショートヘアの子が見える。
冬花がまわりの女子に囲まれ、円陣を組んでいるところだった。
試合が始まると真っ先に飛び出す冬花を、声に出すほどではないが心の中で彼女を応援する。
小さな体でコートの中を駆け回る。
最初から冬花はレイアップを決める。
一瞬立ち上がりそうになるが、落ち着いて座りなおす。
冬花の戦いに自分までわくわくしてくる。
その後も確実に冬花は点をのばしていった。
楽しくなってきた俺は目を輝かせ、気が付くと手を強く握り締めていた。
そんな俺の隣から誰かのつぶやきが聞こえた。
「桜は変わらないな」
ため息にも似たその口調は確かに彼女の名を呼んでいた。
「えっ?」
隣を見ると、他クラスの席に彼がいた。
三つ先の椅子に座る彼も冬花を見つめていた。
メガネごしに見える寂しそうな目を今でもよく覚えている。
黒髪の彼が俺に気付き、軽く会釈してきた。
冬花たちは最初から試合らしく、こちらに戻ってこなかった。
もう向こう側の女子のコートにうちのクラスの女子が集まっていた。
その中に一人小柄なショートヘアの子が見える。
冬花がまわりの女子に囲まれ、円陣を組んでいるところだった。
試合が始まると真っ先に飛び出す冬花を、声に出すほどではないが心の中で彼女を応援する。
小さな体でコートの中を駆け回る。
最初から冬花はレイアップを決める。
一瞬立ち上がりそうになるが、落ち着いて座りなおす。
冬花の戦いに自分までわくわくしてくる。
その後も確実に冬花は点をのばしていった。
楽しくなってきた俺は目を輝かせ、気が付くと手を強く握り締めていた。
そんな俺の隣から誰かのつぶやきが聞こえた。
「桜は変わらないな」
ため息にも似たその口調は確かに彼女の名を呼んでいた。
「えっ?」
隣を見ると、他クラスの席に彼がいた。
三つ先の椅子に座る彼も冬花を見つめていた。
メガネごしに見える寂しそうな目を今でもよく覚えている。
黒髪の彼が俺に気付き、軽く会釈してきた。