俺の学校の球技大会はどこか別の場所を借りて行われている。

いつもより遠い道のりと昨日の出来事を理解できず、眠れなかったせいでイライラする。

俺は今日もヘッドフォンをして、仏頂面のまま駅へ向けて歩く。

改札を通り、電車に乗った。

ちょうど通勤ラッシュに重なっていたのか、電車の中はとてもこんでいて扉に顔を押しつけられる。

━━ったく。まだつかないのかよ

イライラがつのっていく俺のヘッドフォンを誰かがひっぱった。

「おはよ!葉山っ」

俺を散々悩ませた奴の声が耳に飛び込んでくる。

俺が視線を下げると冬花が楽しそうに笑っている。

俺はどう言うことかわからず、目を見開く。

「葉山ってー低血圧?朝いつも怖い顔してるよね」

幼い子供のようにキャッキャッと笑う。

ザワザワと電車の中に聞こえる雑音。

俺の脳は昨日のこともあり、疲労のせいで完全に停止していた

「でも昨日はシュート入ったし、今日もきっと…葉山?」

ずっと黙っている俺の顔を冬花が覗き込む。

これは昨日のことは何の意味もないということなのか?

「あ、ごめん。そうだな、今日入らなかったらなんかおごれ」

俺は普段冬花と話すときとかわらぬ態度をとる。