一方、郁美の元カレ・土橋修は、どの学年にも必ずいる、派手で目立つグループの一人だった。


だが、はっきり言って、かっこいいと言うわけではない。


腕っぷしの強そうなガッシリした体躯と無愛想な顔が、近寄り難くて気難しそうなイメージを見事に作り上げていた。
多分、少しタレた細い目に、つり上がった眉、冷たい感じのする薄い唇が、彼を余計に怖く見せているのだろう。


また、ただ坊主が伸びただけのように見える、短い無頓着な頭は、しょっちゅう寝癖がついたりしていて、あまり洒落っ気は無さそうだった。


土橋修の友達はお洒落な人が多く、女子から人気があるグループなのだが、なんとなく土橋修は浮いているようにも見えた。


でも、実際は彼は、浮いているどころかグループの中心にいて、休み時間になると各クラスから仲のよい友達が土橋修のクラスであるA組前の廊下に集まっては、彼を囲んで騒いでいるほどだった。


だから、友達の中でも人気者なのだろう。