驚いて口をポカンと開けたままの私を見つめながら、郁美はゆっくり頷いた。


「だって、あんた高1の夏に初めてエッチしたって言ってたじゃん!」


「……あれは……嘘だったの」


「マジで……?」


以前、私は郁美や、中学のときに仲がよかった女の子五、六人で集まり遊んだことがあった。


そして、おしゃべりが恋愛話になったときに、郁美が初体験の話をしていたのだ。


何人かは高校に入ってから彼氏ができて、初体験が痛かったとか、恥ずかしかったとか話をしていて、郁美も当然のごとく自分の初体験の話をしていたから、私はそれを信じていたし、経験のない私には、それがまさか嘘とは到底見抜けるわけがなかった。