しばらく早足で歩いてると、まだ少し白い粉の跡が残っている人を見つけた。

今この瞬間において、あんなものが残っている人物は一人だけ。

あたしは少しスピードをあげて彼の背中に手を伸ばす。

「……龍平君」

あたしが彼に触れたのと同時に彼はこちらに振り向いた。

「お前…何してんの?」

「あ…えと…、さっきはごめん」

「は?」

「だからさ、教室に戻ろ?」

「んでだよ、ほんと何なんだよお前…。」

龍平君はそのまま前を向いてさらに進んでしまう。

「あ…待って………っ」

その瞬間に視界が少し揺れる。



あれ…?

周りが…ねじれて…


動悸が激しくてその場に座り込む。


どうしよう…

苦し…


誰か…


そう思ったとき

「おい!!大丈夫か!?」

「りゅ……へ…い…く…ん?」


あたしの目の前には龍平君がいた。

どうして…

さっき先に行ってしまった彼が目の前にいるんだろう。