「突然声がしなくなったと思ったら…どうしたんだよ!?」

「だ…だい…じょ……ぶ」


へらっと笑う。

「何が大丈夫だよ!!真っ青じゃねぇか!!」

「へ…い……き、教室……もど…ろ?」


あたしの顔色が悪いのを心配してくれる彼はさっきまでと違って優しく思える。


「…ね?」

「…分かったから、ほら…」

「…?」


突然しゃがみ込んだ龍平君にあたしは首をかしげた。


「のれ」

「え…?」

「保健室に連れて行く」

「だ…大丈夫だってば!!ほら!!」


そう言って勢いよく立ち上がる。

少し休んだからかもう苦しくなくなっていた。


「ね!!ただの立ちくらみだったんだよ、…きっと」


納得のいかないような顔をしている彼の腕をあたしはぐいぐい引いた。


「HR終わっちゃうよ!?」


角を曲がって2-Bに着くとあたしは教室のドアを勢いよくあけた。

当然みんながこっちを見ている。


「龍平君捕獲しました!!」


教室に入るのを渋る彼を引っ張って連れ込んだ。


「おぉー!!夜神マジか!!」

永瀬先生は拍手している。

…なぜ?

それを見てクラス中が”すげー”とか”嘘でしょ!?”とか盛り上がっていた。

もしかして…


「今まで出て行ったら誰も追わなかったの?」

「そりゃそうだろ」

隣から声がする。

「なんで?」

「………しらねぇ」


そういうと龍平君はさっさと席に戻ってしまった。

あれぇー?

なんかおかしくないか?

あたしはあんたを席に戻すために追っかけたのに
そのあたしを無視して先に席に着いちゃうんですか!?


「まぁとりあえず、お前も座れ」


先生に言われて席に着くあたし。

なんか…無駄に動いた気がするのはあたしだけ?