「周りからは凛人、って呼ばれてるけど、お前だけ市原君、なんだよな」
「はぁ…」
だから、それはつまり…
「俺の事は、凛人と呼べ」
やっぱり。
でもなぜ命令形?
「わかったな?」
「う、うん」
これって、どうしてもなのかな?
「これって、どうしても?」
あたしの問いかけには答えずに
「今1回呼んでみ?凛人、って」
「えぇっ!」
無理無理無理無理無理無理無理!
あたしの戸惑ってる表情を見た市原君(今のところでは、こう呼ぶ事にします)は、得意の意地悪な顔で
「…言わなかったら……昨日みたいな事するけど。いい?」
「!」
昨日みたいな事……
それって、キスするって事だよね⁈
人前で、それだけは勘弁!
「わ、わかった」
あたしは承諾するしかなかった。