今日は、5回目の練習の日。
あたしは前よりは、市原君と普通に話せる様になれた。
……でもまだ、敬語じゃないと話せないけど。
放課後のいつもの会話。
「じゃ、また後でな」
「はい!」
そしていつも通り、ジャージにポニーテールで中島運動場に急ぐ。
初めて練習した時からタイムはどんどん縮まっていって、50mを8秒で走れる様にまで上達した。
自分でも信じられないくらいの成長で、凄くびっくりしてる。
休憩時間。
「お前ってさ、案外足速いじゃん?」
市原君が、買ってきたスポーツドリンクを飲みながら言う。
「そ、そんな事ないですよ」
足速いじゃん、なんて言われるの生まれて初めてで、無性に嬉しくなる。
「いや、そんな事あるって!上達も早いし。…あ、俺の教え方がいいのか」
市原君は、納得する様にうんうん頷いている。
その様子を見て、あたしは思わず笑ってしまった。
休憩時間を終えて、それからまた1時間くらい練習した。
どんどん夏本番に近づいてる様で、夕焼け空になるのが少しずつ遅くなっていく。
「じゃ、今日はここまで」
「ありがとうございました!」
そしていつものあいさつをする。
これって、なんか部活みたいだよね♪
部員になったつもりになって、なんか楽しくなる。