『生きろ。』
その言葉が、あたしの胸に鋭く刺さった。
まるで、今日の事を全部見てた様で。
「……空から、見てたの?凛人」
あたしは、手紙を握りしめて部屋を出た。
「あぁ、千尋ちゃん。…すっきりした?」
リビングのソファーに座った美雪さんは、あたしに優しく笑いかけてくれる。
「はい、とっても。ありがとうございました」
「いえいえ」
美雪さんは、また穏やかに笑った。
「おじゃましました」
「気をつけてね」
玄関先で、美雪さんが心配そうにあたしを見る。
答える代わりに深々と頭を下げて、凛人の家をあとにした。