凛人のいない季節が始まった。
ーー秋。
「……千尋………大丈夫?」
「…愛ちゃん……あたし、もう…っ」
あの日あんなに泣いたのに、まだ涙は止まってくれない。
あたしは、やっぱり弱いんだ。
凛人はあたしに「強くなったな」って言ってくれた。
でも、それはやっぱり、違うのかも……
今が幸せだから、それでいい。
なんて考えたあたしは、弱かった。
それって、ただ怖かっただけじゃない?
凛人の抱える過去を知るのが怖かっただけじゃないの?
逃げてたんじゃないの……?
どんな事もわかり合い助け合うのが恋人だと、いつかお母さんが言っていたのを今更思い出す。
……凛人、ごめんね。
………あたしがもっと強かったら、
どんな過去でも、受け止める勇気があったら………
こんな自分がもう嫌だ。
最低、最悪、偽善者。
自分をどんなに罵っても、涙は止まるどころか更に溢れてくる。
………もう、苦しい。
生きてるのが、苦しいよ………
あたしは、生きてちゃいけない人間だ。
生きてる意味がない人間だ。