それからしばらく手を繋いで歩いていると、急に凛人があたしの耳元で囁いた。
「……俺も千尋に会えなくて、マジで死ぬかと思った。俺、今すっげえ幸せ」
"幸せ"
少しだけできた?
あたしでも、凛人を幸せに。
「…わっ⁉」
ふわり、と目線が高くなる。
「千尋が可愛すぎるからこーしたくなる」
「っ///ちょっと!」
朝からこんなんされちゃ、今日1日、あたしの心臓もつかわかんないよ。
お姫様抱っこなんて、生まれて初めて。
あたしも幸せになって、凛人の胸に顔を埋めた。
周りの目を気にしなくなったあたしは、少しは強くなれた?
……それとこれとは意味が違うか。
でも、昔のあたしなら絶対こんな事できないよね?