「おじゃましました!」
「気をつけてね、千尋ちゃん」
あの時みたく手を振る美雪さんに、頭を下げて応える。
青い空と、オレンジ色の空が混ざり合って凄く綺麗だ。
あたし、泣かない。
凛人といる時は、絶対に笑ってる。
泣くよりも笑ってた方がいいに決まってるでしょ?
その方が、幸せに感じるでしょ?
…今度こそ、強くなるの。
凛人の笑顔ずっと見られる様に、あたしは笑うよ。
だから、凛人も笑ってね。
さっきよりもオレンジ色に傾いた空に向かって、あたしは満面の笑顔をつくってみせた。
病院にいる凛人と、今、唯一繋がってる、空だから。
この笑顔が凛人に届く様にと、精一杯笑った。