再び、太陽が光り輝く季節になった。
ーー夏。
「千尋先輩っ!一緒に帰りませんか?」
「あっ、うん!いいよ」
そう笑って教室の前に来たのは、凛人のいとこの大田佐奈ちゃん。
あの日凛人と話し終わったあと、佐奈ちゃんが玄関で待っていてくれていて、3人で帰った。
佐奈ちゃんはその時に「ご迷惑かけてすみませんでした」って言ってくれた。
帰り道はあたしと全く同じ方向だったので、佐奈ちゃんまでもを付き合わせちゃってるのではないかと思った。
尋ねてみると、佐奈ちゃんは首を横に振り、柔らかく微笑んで
「実は私も千尋先輩と同じ方向なんです」
と言う。
……という事で。
今日はちょうど、凛人が用事があると言い先に帰ってしまい、愛ちゃんも海斗と帰るから〜♪と言い、1人だった。
佐奈ちゃんに感謝。
並んで玄関を出る。
歩いてしばらくしてから、佐奈ちゃんが口を開く。
「最近、凛人先輩用事って言って先帰る事多くないですか?」
佐奈ちゃんは今まで凛人の事を"りん君"と呼んでいた。
でも、高校に入ったからそうなのか、それともあたしに気を使ってからなのか、佐奈ちゃんは凛人を"凛人先輩"と呼ぶようになった。