読んでいた本から少し顔を上げて、あたしの顔を見ている。


宮森君はもう1度「なに」と聞いてきた。



あぁぁぁぁっどうしよう!


……こ、ここは単刀直入に言った方がいいのかな…




……なんて思っていると「なんだ」という宮森君の声。



へ?

あたし、なんか言ったっけ?




宮森君はさっきまでの無表情からガラリと変わって、少し笑ってあたしに言う。




「凛人の彼女の遠野、だっけ?」




凛人の彼女の遠野、という言葉があたしに突き刺さる。


嬉しいはずなのに………




今は、素直に笑って頷けない。





あたしが俯いていると、宮森君は近くにいた男子に「席借りんぞ」と言い、あたしに座る様に言った。