あたしは、ただその光景を唖然として見る事しかできなかった。
凛人…誰なの?
その子。
いつの間にか隣にいた愛ちゃんも顔をしかめて「なにあの子」と、女の子とは思えないくらい低い声で言った。
やがて教室から凛人とその女の子が並んで出てきた。
あたしに気づいた凛人は、驚いた表情をする。
「千尋…」
…と、あたしの名前を呼ぶ声は、その女の子によってかき消された。
「りん君、だあれ?この子」
その女の子は凛人の腕に自分の腕を絡めて、あたしの顔を、大きな目をぱちくりさせながら見る。
……なにそれ。
あなた、凛人のなんなのよ。
あたしの心の中で、真っ黒い感情が湧き出てくる。