キッチンに入ると、カップケーキの甘い香りが漂っていた。
「…おぉーーっ!」
見事に焼きあがったチョコレートカップケーキ。
「わーい!写真撮ろ、写真!」
さっきの重苦しい気持ちが、カップケーキから出る湯気と一緒に、どこかへ飛んでいった。
愛ちゃんもさっきの表情が嘘の様に、もうカップケーキを見てきゃーきゃー騒いでいる。
「じゃ、食べよ♪」
「うん♪」
これは練習作品だもんね!
カップケーキを一口ほおばる。
「…お、美味しい!」
「やばい天才的!」
まぁ当然か〜♪などと言って笑って、自画自賛中の愛ちゃん。
あたしも、初めてにしては上出来じゃない?
ちゃんと、カップケーキの原型とどめてるし。