「おはよう、凛人っ⁈」
次の日。
玄関のドアを開けた瞬間、あたしは凛人の腕の中。
「りっ、凛人?」
「寂しかった?」
あたしを離すなり、意地悪く笑ってそう言う凛人。
「………行こ!遅刻するー」
見事にスルー。
我ながら天才的。
……少しくらい寂しかったよ。
ううん、少しくらいじゃない、かなり。
素直にうんと言えないあたし。
凛人は後ろでなんか言ってたけど、これもスルー。
「おはよーう、愛ちゃん」
「あっ、おっはぁ♪千尋」
「…おっす、森田」
そしていつも通りのあいさつ。
…ん?
なんか、教室騒がしくない?
「愛ちゃん、なんかあったの?」
いつもの様に、あたしの前の席の椅子を引っ張り出して座る愛ちゃんに質問。
「あー、なんかね。今日転校生来るらしいよ?」
「こんな時期に?」
「うん…。男子だって。だから女子が騒がしいんだよね…」
愛ちゃんは、やれやれという感じで周りの女子を見る。
「何年何組?」
クラス違うなら関係なし!
「…1-B、だって。うちのクラス」
「………」
できれば関わりたくないなぁ。
話せる男子、ほんとにちょっとしかいないし。
凛人、海斗、光汰…。
…計3名。