玄関で靴を履き替えていると、鼻歌を歌う美雪さんが見送りに来てくれた。


「気をつけてね、千尋ちゃん。まぁ凛人がいるから大丈夫だろうけど」

「あ、はい。おじゃましました!」


あたしは深く頭を下げる。




「行くぞ」


凛人があたしの手を引く。



「またいつでも来てね〜♪」



美雪さんは笑って、手を振ってくれた。


あたしもそれに応える様に軽く頭を下げた。




美雪さん、いい人だったな。

あんなお姉さんいたらいいなぁ。




帰り道、あたしはさっき自分の身に起きた事も忘れ、終始笑顔だった。