「……ごめん。本当ごめん。もっと早くに気づけてたら…」
あたしに言った後、さらに抱きしめる力を強くする。
「…俺、彼氏失格だな」
凛人が小さな声で言った。
「千尋を守るって言ったのは俺なのに」
「そんな事ない!」
あたしは首を強く横に振った。
耳元で凛人の「え」という声が聞こえた。
「だって凛人、助けてくれたじゃん。あたし、ほら生きてるよ?」
彼氏失格なんかじゃない。
「だってこれはあたしの不注意だし。凛人はなにも悪くない」
凛人のお陰で、あたし、生きてるよ。
死んでなんかない。
だから、お願い。
そんな事言わないで。
凛人は、あたしの自慢の彼氏なんだよ。