「んだよ千尋」
凛人が耳をおさえていたけど、今は目の前の事に精一杯。
この人が、この人が………
「田中…海斗君、ですか…?」
愛ちゃんの彼氏だという、田中海斗君?
「あぁ、そーでーす♪」
にこにこしながら答える田中海斗君。
「凛人の彼女の千尋だよね?」
いきなり呼び捨てにされた事への驚きからか、あたしは一瞬固まった。
「…あ、はい、そう…です」
なんとか答える。
「俺、愛の彼氏。田中海斗。海斗って呼んでな♪」
そう言って笑い、あたしに手を差し出す。
「?」
これは…凛人の場合だと手を繋ぐって事なんだけど……
今回の場合は、なんだろう…?
「握手なん、そんな小学生みたいな事するかアホ」
凛人が鼻で笑いながら言う。
「あーやっぱり?俺も手ぇ出しときながらあれ?とか思ってたわ」
そう言って笑う海斗。
あー、あたしなんか、男子の名前呼び捨てにするの慣れてきたかも。
凛人のお陰………?
「まっ、そーゆー事で!仲良くしてな♪」
「あ、はい」
あたしが言うと
「あぁ、敬語もなし!堅苦しいって♪」
と優しく笑う海斗。
「わかった。よろしく」
「おう!」
また1人、呼び捨てにする男子が増えました。