凛人は黙ってあたしを抱きしめた。 よく覚えてる、この感じ。 凛人のあったかいにおい。 あたしのお母さんが死んじゃった時も、こうして凛人はあたしを抱きしめてくれたよね。 優しくて、あったかい凛人の腕の中。 でも、もう2度となくなるんだよね。 あれ、あたし… 泣かないって決めたのに……。 涙が、止まんないよ………っ 凛人は言葉を続けた。 「…不安にさせて、ごめん」 ……え?