「っちょ千尋、お前なんで泣いてんの?」
「え…?あたし、泣いてる?」
「うん、バッチリ」
嘘っ。
いつの間に泣いてたのあたしっ⁉
光汰はあたしの隣の椅子に腰をかけた。
「なにがあったのさ」
光汰が優しい口調で聞いてくれる。
それに安心感を覚え、あたしはゆっくりとさっきあった事を話した。
全部聞き終えた光汰は
「…俺、それなんかの間違いだと思う」
と否定する。
「えっ」
と、あたしは小さな声を上げる。
それから「どうして?」と聞く。
「…今日あいつと飯食ってた時にさ、あいつ千尋の事すっげぇ嬉しそうに話してたんだ」
え……
「光汰、それきっと嘘だって」
「え」
今度は光汰が小さく声を上げる。
「それもまた、あたしに対する気遣いでしょ」
あぁ、あたし今、酷い事しか言えない気がする。
凛人の事、悪くしか言えないかも。
思わず俯くと、急に視界が暗くなる。
「⁈」
あたしは、光汰の腕の中にいた。