「はぁ…はぁ……」


あたしは結局図書室に来ていた。



ほんとは次授業だけど、受ける気なくなった。



5時限目、サボろう。



あたしは愛ちゃんに

次授業出ないから
先生にテキトーに誤魔化しといて!

とメールを送った。



しばらくたって

了解!
ってかなんかあったの?
よかったらあとで話聞かせてね?

と返信がくる。




愛ちゃん……天使みたいに優しいね。


ありがとう、愛ちゃん。




図書室の机に顔をうずめ、さっきの事を思い出す。





あんな美人さんじゃ、好きにならないわけないよね。


そうならそうと、あたしにちゃんと言って欲しかった。




"ギィィ"


図書室の重い扉が開く音がした。


あたしは目を硬く閉じた。



足音はどんどん近づいてくる。




そして、名前を呼ばれた。



「…千尋」





あの人の声ではない事に気づき、あたしは顔を上げる。



そこに立っていたのは、



「光…汰」

「よぉ」




幼馴染の光汰だ。