「……鷹雪くん…?」
振り返ることもできないまま、私は涙声で君を呼んだ。
「……泣くなんて、ずるいです。俺は、……我慢してたのに」
ああ、そういえばこの玄関から門までの道は、君の部屋の窓からよく見えるんだ
ったね、なんて、バカみたいに冷静な頭がそう言った。
私を力強く抱きしめたままの鷹雪くんの声は、心なしか掠れていた。
「我慢、って…」
「好きです」
「……へ」
「好きです、瑞希さん」
……え、え?
「今、瑞希さんが泣いてたのは、俺のことが好きだからですよね…?」
「あ、あの」
「あんな、泣きそうな顔で、おめでとうって言われたって、…強がってるの、バレバレでしたよ」
嘘…。